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【連載】みんなが気になる「顔」の話 By 山口真美

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「顔」や「表情」の謎を研究する心理学者・山口真美さんの連載エッセイ。人間は、他人の顔や表情、さらには自分の顔をつねに気にしていますが、その理由を、山口さん自身が行なっている研究や… もっと読む
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#ステレオタイプ

新連載『みんなが気になる「顔」の話』始まります!

こんにちは、集英社インターナショナル・編集者のMSと申します。 いきなりですが、コンピュータの世界では「インターフェース」という言葉がよく使われるのはご存じですよね。 インターフェースとはコンピュータと人間が接触する「境界面」のこと。 たとえばディスプレイもそうですし、キーボードやマウスなども典型的なインターフェースですね。最近ではマイクやカメラも一般的なインターフェースになりつつあります(Zoom会議など)。 スマホなどでは画面そのものが出力と入力の両方の役割を果たし

第12回「人の見た目」よりも「社会の見た目」(前編)

なぜ人は教科書の偉人の顔に落書きするのか写真や映像として切り取られた顔に対して、人はどうも無頓着になりがちです。 子ども時代、教科書に出ている著名人の顔写真にいたずら書きをした人は少なくないでしょう。街角に貼られた選挙のポスターの顔に対して、まるで「品評会」のように無責任な批評を言ったりするのも、子ども時代の「あるある」です。 現代の私たちは「印刷された顔」と幼い頃からそんな調子で付き合ってきているのですから、テレビや新聞や雑誌に出ている顔も、当然軽く扱われてしまいがちで

第12回「人の見た目」よりも「社会の見た目」(後編)

前編から続く 「部外者」から、この国はどう見えるだろうか?「社会の見た目」というのは、きっと聞き慣れない表現だと思います。 前編で述べたように、人間は自分の見た目、つまり他者が自分のことをどのように評価をしているかが気になってしょうがない存在です。少しでも相手にいい印象を与えようと、私たちはさまざまな努力をしています。その代表がお化粧です。 ところが、それだけ自分に対する他者の目を気にするのに、自分が属する社会が部外者から見たら、どのように映るのかはほとんど気にしません