連載 言語の天才まで1億光年 高野秀行

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アフリカ篇(8)  アイデンティティ・クライシスとボミタバ語学習

アフリカ篇(8) アイデンティティ・クライシスとボミタバ語学習

全く現れないムベンベ、なぜか足りない食料……。今回は飢えが引き起こしたアイデンティティクライシスに陥った高野さんがすがったもの──仰天です。  私たちはテレ湖に1カ月間滞在する予定で、その分の食料を用意して持ってきたはずなのに、実は半分ぐらいしか湖に届けられなかった。後でわかったことだが、最初から村の人々に数をごまかされたうえ、運搬の途中でポーターたちが森の中に隠していたという。  当然のことながら、食べ物が加速度的に不足し始めた。米は1人1日1合、あとは湖で獲れる魚か森

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アフリカ篇(7)  初体験の民族語はボミタバ語

アフリカ篇(7) 初体験の民族語はボミタバ語

  今回はいよいよムベンベ探索へ出発。英語、フランス語、リンガラ語を駆使し、大活躍の高野さんが味わった絶頂と失望とは。  前にも述べたように、〈コンゴ〉を含め、多くのアフリカ諸国の人たちの言語観は3階建ての建物のような階層をなしている。すなわち最上階には高級デパートのような英語、フランス語、ポルトガル語などヨーロッパの言語の世界が君臨し、2階には中央市場のような地域の共通語の世界が広がり、そして1階には小さな屋台みたいな民族(部族)の言語がひしめいている。  コンゴの場合は

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