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#025 繰り返しの日常から逃れ、南米で30代後半からモデルデビュー【チリ】/世界ニホンジン探訪~あなたはどうして海外へ?~

お名前:Hiroさん
ご職業:モデル、俳優
在住地:サンティアゴ(2013年~ ※2024年6月現在、日本帰国中)
出身地:千葉

スピード国際結婚からのチリ移住

――チリとの出合いを教えてください。

 チリ人の妻との出会いですね。浅草にあるバックパッカーが多く訪れるバーに行ったとき、長期旅行中だった今の妻と出会ったんです。僕から彼女にアプローチをしてすぐに付き合うことになり、4ヶ月後には結婚していました(笑)。

――すごいですね! その時点でチリに住むことも考え始めたんですか?

 いえ、最初はチリ移住のことはあまり考えてませんでした。当時の僕は30代後半。仕事もありましたし、結婚してすぐに子どもも授かったので、なんとなく日本で暮らしていくんだろうという感じでしたね。

――そんな中、どうしてチリ移住に至ったのでしょうか?

 妻からの提案です。一緒に日本で暮らし始めて1年半たった頃、生活がマンネリ化していたんです。会社員の私は家と会社の往復で、同じ毎日の繰り返しでした。彼女は行動的な人なので、起業をしたがっていたのですが、日本では条件が厳しかった。そんなとき、「チリに移住してみない?」と提案をもらったんです。

――そのときどう思われましたか?

 正直、アリだなと思いました(笑)。もともと海外に住むことには興味があって、繰り返しの生活から抜け出して、新しいことをしてみたい気持ちもありました。それで、子どもをつれてチリに移住することにしたんです。

――実際に住みはじめていかがでしたか?

 チリの人々は人間関係が対等かつおおらかで、魅力的でした。フレンドリーで肩が凝らない感じの人が多くて、すんなり住み慣れました。

ご家族と

全員でお菓子を食べまくる撮影現場

――チリでのお仕事について教えてください。

 一番長くやっていて、自分でも気に入っている仕事は、モデルですね。主に北米の会社からの依頼でおこなうCMモデルが多いです。CMって撮影してから公開されるまで数ヶ月かかるんですが、チリは南半球なので、北米が冬の時こちらは夏です。その季節の違いを利用して、北米が冬の時期に、南米に夏っぽいCMを撮影しにくるんですよ。過去には日本からも依頼があって、トヨタや日立のCMにも出させていただきました。

――なぜ、モデルをはじめたんですか?

 チリに移住してからは、カフェを開いたり、家を改装してホステルを経営したりしていました。でも、日本での会社員時代のように、毎日が同じことの繰り返しで退屈していたんです。そんな時にモデルオーディションの広告を見て応募してみたのがきっかけですね。運よく採用してもらったところ、撮影されたり、カメラの前で喋るのがすごく楽しくて、性に合ったので続けることにしました。

――チリでのモデル業、あまりイメージができないのですが、どんな現場なのでしょうか?

 現場がいつも楽しいことに驚きますね。チーム内のみんなが対等でフランクなんです。僕は日本での芸能経験がないので、あくまでイメージなんですが、日本では監督や役者さんは「偉い人」として扱われて、スタッフはその下で頑張って働いている印象を持っていました。一方、こちらはそれが全然なくて、みんな友達のような雰囲気なんです。あと、撮影現場がいつも食べ物に囲まれてるのも驚きましたね。クッキーやらお菓子やら、コーラやらがいつも置いてあるので、みんなそれを食べたり飲んだりしながら仕事をしてます(笑)。

モデルの仕事中にスタッフのみなさんと。

雪降るアンデスでバーベキュー

――生活面で感じる文化の違いはありますか?

 地下鉄やバスでモノを売る人が多いことには驚きました。例えば、電車の中にクーラーボックスを持ち込んでアイスや炭酸飲料を売ったり、ミュージシャンも勝手にギターを弾き始めて、終わった後にお金を集めに来たりします。

――商魂たくましいですね!

 日本でビジネスをするとなると、大袈裟に考えちゃうじゃないですか。計画を立てたり、心の準備をしたり。でもチリ人は、そんなこと考えないで、とりあえず始めちゃう人が多いように思います。大学生が家でサンドウィッチを作って公園で売り歩いたり、屋台を始めたりしているのはよく見かけます。日本で仕事がなかったりすると思い悩んでしまう人もいるかもしれませんが、チリ人の周りの目を気にしないでなんでも始めちゃう姿を見れば、きっと価値観が変わるんじゃないかなと思います。

――食文化はどうですか?

 夜ご飯をあまり食べなくなりましたね。というのも、チリには昼と夜の間に食べる「オンセ」と呼ばれる間食文化があります。本来は間食だったはずが、オンセが結果的に晩御飯になる人も多いです(笑)。なので、夜ごはんの食事量が減って、僕は痩せました。あと、バーベキューの習慣が好きですね。

――どんな時にバーベキューをするんですか?

 人が集まる時にはいつもやります。誕生日や祝日、サッカーの試合がある時とかですね。基本的にどの家の庭にもバーベキュー機材が備わっています。チリはアンデス山脈があるので冬はスキーに行く人が多いんですが、雪の上でバーベキューしてるのを見たときはさすがに驚きました(笑)。

チリでは人の集まりには欠かせないバーベキュー。

人との距離感が激近な自然大国

――チリはどんな人におすすめでしょう?

 社交的な人ですね。みんなオープンでグイグイくる人が多いので、そうした人との距離感が平気な人にはおすすめですね。楽しいと思います。
 あと、チリは国土が南北に長くて、砂漠も氷河もモアイ像で有名なイースター島もあって、いろんな景色が見られます。楽しい思い出をたくさん作れると思いますよ!

チリ南部のパタゴニア地方にある氷河。

取材:2023年9月
写真提供:Hiroさん
※文中の事柄はすべてインタビュイーの発言に基づいたものです

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聞き手

おかけいじゅん
ライター、インタビュアー。
1993年東京生まれ。立命館アジア太平洋大学卒業。高校時代、初の海外渡航をきっかけに東南アジアに関心を持つ。高校卒業後、ミャンマーに住む日本人20人をひとりで探訪。大学在学中、海外在住邦人のネットワークを提供する株式会社ロコタビに入社。同社ではPR・広報を担当。世界中を旅しながら、500人以上の海外在住者と交流する。趣味は、旅先でダラダラ過ごすこと、雑多なテーマで人を探し訪ねること。


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