そうだ、カリスマ広報の鈴木さんから「歴史的事件」を「プレスリリース」にする極意を伝授してもらおう!
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そうだ、カリスマ広報の鈴木さんから「歴史的事件」を「プレスリリース」にする極意を伝授してもらおう!

note読者のみなさん。こんにちは!

インターナショナル新書編集長の土屋です。
みなさんは「プレスリリースを書かねばならぬ」となった時、すごーく悩みませんか?

私も『明治十四年の政変』(久保田哲・著)をリリースした際に、「この複雑怪奇な政変をテーマにした本をどのように伝えたらいいのか?」と悩みまくりました。

そこで今回、心強い助っ人をお呼びしました!
NECパーソナルコンピュータのカリスマ広報マン・鈴木正義さんです。

ここからは対談形式でお届けします。

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土屋:鈴木さん。本日はありがとうございます!

鈴木さんが書かれている日経クロストレンドのWEB連載「風雲!広報の日常と非日常」。本当に面白いですよね。
とくに「大政奉還」と「本能寺の変」の記事が、最高でした。

「歴史の事件」を広報マンの目線で「プレスリリース」にするという、すごい試み(笑)。

↓ 日経クロストレンドの記事はこちら ↓
「もし幕末に広報がいたら 大政奉還のプレスリリースを書いてみた」
https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00157/00087/?i_cid=nbpnxr_author
「本能寺の変」のプレスリリース書いてみた 危機対応の原則とは
https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00157/00091/?i_cid=nbpnxr_parent

鈴木:ありがとうございます。

土屋:今回は、複雑でなんだかよくわかんない事件「明治14年の政変」でリリースを作るというお題なんですが…。

鈴木:「明治14年の政変」って、歴史の教科書には「大隈重信の追放」「開拓使官有物の払下げの中止」「国会開設の勅諭」(9年後に必ず国会を開きましょうというもの)の3つの結果が書かれているんですが、この結果だけだと関係性がわからないですよね。

土屋:そうなんですよ。1つの事件につながらない結果が3つ。結果さえ複雑なんです。
なので、「複雑なことを、どうシンプルに切り出すか」というリリースの基本とも言えるものを教えていただきたく…。

鈴木:この政変は人間関係とか派閥とかいろいろあるので、芝居や舞台にたとえたリリースにするといいと思いますよ。
発信元が「劇団明治政府」で、演目が「ミュージカル 明治14年の政変」とか。
主人公は、伊藤博文、大隈重信、黒田清隆の3人で。

土屋:へっ?

鈴木: この政変は「起・承・転・結」で話すとわかりやすくて、筋が見えてきますよ。

土屋:???(あまりの急展開に頭がついていかない…)

鈴木:「」は、「明治維新からひと段落の明治10年代、さすがにそろそろ近代国家として『憲法や議会』を決めなきゃ」ですよね。

土屋:うん、うん。

鈴木:「」は、「じゃあ、その『憲法や議会』のための『提案書』をそれぞれが出しましょう」と。

ところが大隈重信がなかなか出さない、と思ったら裏で有栖川宮熾仁(ありすがわのみや・たるひと)親王に「イギリス式がいいんじゃないか?」と「密奏」をしてた。

伊藤博文は、大隈から「まずは、俺に相談があるだろう」くらいに思っていたので、内緒で密奏していた大隈に対しては「ふざけるな!」という、裏切られたような気持ちですよね。でも、その伊藤の怒りに対して大隈は「すみません」と素直に謝って、ここでは一応解決した。

土屋:そうです、そうです。

鈴木:ところが、ここでまったく別の問題が出てきます。「」にあたる部分です。

北海道開拓使の官有物を五代友厚(ごだい・ともあつ)らに格安で払い下げるということが、在野の人たちの間で「けしからん」と大騒ぎになって。その大騒ぎの裏にはどうも「三菱」や「福澤諭吉」の影が見える。

開拓使をずっと進めてきた黒田清隆は、憲法や国会がイギリス式だろうが、ドイツ式だろうがあまり関心がなかったし、大隈とは経済政策で考えが一致していた。

でも、黒田の中では、仲間だと思っていた大隈が、実は福澤諭吉とつながっているんじゃないか? この官有物払下げ問題をリークしたのは大隈では? という「疑念」が生まれて……。

そんな中、ジョーカー・井上毅(いのうえ・こわし)が、「ドイツ式がいいですよ」と伊藤への働きかけするなど暗躍していた。

」として、明治政府は「民意を反映した何か」を行なうわけです。
それが、「開拓使の払下げは中止」「議会を開きましょう。ただし9年後」「議会や憲法は、ドイツ式でいくので、大隈さん辞めてください」という3つの結末となるわけです。

土屋:たしかに「起・承・転・結」で考えるとわかりやすいです。

鈴木:起承転結でいくと「明治14年の政変」は見ごたえのあるドラマですよ。

土屋:思えば、明治14年の政変は「政治ドラマ」とも言われてます。
私の予想では、リリースの発信者は「明治政府」になるのかな、と思っていたので、ミュージカルのリリースというご提案にはびっくりです。

鈴木:まずは、リリースを誰の視点で書くのか、ということです。

「明治政府」を発信元にしてしまうと、教科書に書いてある「3つの結果」の説明と変わらないものになってしまいます。黒田清隆個人のリリースでは、伊藤の立場が書けませんし、大隈の反論リリースでも全体像を描けません。

高いところから見る「神の目」的なものだと政変の全体をニュートラルにとらえることができます。そう考えていくと「公演発表のリリース」に行きつきました。

土屋:思えば「本能寺の変」では、リリースの発信元が、織田でも、明智でも、秀吉でもなく、「本能寺」でした。いや、そうきたかと…。

鈴木:リリースは誰の視点で書くかというのは大事ですよ。歴史モノのリリースは面白がって作っていますけど。

別の立場から、たとえば本能寺の周辺に暮らす人にとっては「家が燃えてしまうかも」という一大事です。今の私たちの感覚からすれば火事を出した「本能寺」が、周辺の人々への配慮も含め事件の経緯を説明するリリースを出すべきと考えますよね。

土屋:たしかに私たちの感覚にあてはめるとそうですね。

鈴木:私たちが知っている歴史は、時の為政者なり、現代人の視点なり「誰かの視点」によって書かれていますよね。

明治14年の政変は、天皇の統帥権などを考えると、明治・大正昭和、戦前までの歴史をデザインしたような出来事です。ここで政府が別に選択をしていたら、その後の日本は違っていたかもしれない。

土屋:そうなんです。でも、なぜか歴史的に重要な政変なのにあんまり知られていないんですよ。

鈴木: こんな重要なことなのに、「裏切られた」とか「不信感」とか人間の感情の揺らぎで、物事が決まっていってしまいましたよね。

政変とその後を知っている、後世のわたしたちから見ると、当時の政府がけっこう無理を押し通していたりして滑稽とも思えるんですよね。

誰かが書いた筋書きではなく、まさに、台本なき舞台が「明治14年の政変」

土屋:実際、リリースにするとどんな感じでしょうか?

鈴木:う~ん。そうですね。……。
「裏切りと不信の永田町」「国会制定をめぐるミュージカル、ついにに完成!」とかでしょうか?

土屋:あはは(笑)! それにしても鈴木さん、こんなにすぐによくパッ!と思いつきますね。

鈴木:リリースの作成も慣れれば、どんどん「キワード」をうまく切り出していくことができますよ。
リリースですと1つ目のパラグラフに全体像があって、今回の主役は3人で、脇役が五代と井上毅で…。

と、いうわけで、今回、出来上がったリリースがこちらです!

報道関係者各位
                         明治14年10月12日
                         明治政府歌劇団

ミュージカル「明治14年~新政府のリーダーたち~」初公演のお知らせ
大隈重信、伊藤博文、黒田清隆のトリプル主役が織りなす愛憎劇

明治政府歌劇団(所在地:東京霞が関、太政大臣:三条実美)は本日、国会開設の詔勅の発表にあわせ、その裏側の人間ドラマを描いたミュージカル「明治14年~新政府のリーダーたち~」の公演を発表します。
怒涛の展開と、3人の主人公の心象を描き出した繊細なシナリオで織りなす政治劇が、この秋、初公演を迎えます。

【あらすじ】
明治維新の立役者であった大久保利通の死後、次世代のリーダーとなる伊藤博文、大隈重信、黒田清隆は、それぞれの野心、それぞれの懸念を胸に、自由民権運動の盛り上がる中、新政府の舵取りにあたっていました。しかし、立憲政治を目指す立場で一枚岩と思われていた大隈、伊藤の関係は、大隈による裏切りでギクシャクしはじめます。
そこへ、もう一人の有力者黒田清隆は、北海道開拓使の官有物を不当払い下げのスクープから足元をすくわれます。一体誰がスクープをリークしたのか?疑心暗鬼の黒田は、大隈を疑い始めます。
新政府で孤立を深める大隈、その影には、三田にある有名大学創設者F氏の影がちらつきます。さらにドイツ憲法推進派の切れ者井上毅、政商五代友厚といった個性派が脇を固めるなか、自由民権運動は巨大なうねりとなって新政府にのしかかります。新政府はついに3つの決断をすることに…

【みどころ「序」】
「五箇条の御誓文」にうたわれていることもあり、議会開設は新政府にとって規定路線となっていました。一方で西南戦争により国庫は疲弊し、財政再建も喫緊の課題となっていた新政府内では、2大勢力の1つ薩摩は財政再建を優先、一方の長州は議会開設を進めたい意向でした。そのなかで後ろ盾のない大隈は絶妙なバランスで新政府内で自分の立ち位置を見つけていました。財政再建では黒田と手を握り、議会開設では伊藤と合意し、微妙ながらも大隈を軸に全員が一つの未来を確かめあっていたのでした。

挿入歌「熱海会議で話そうよ」(歌:伊藤、大隈、黒田)

【みどころ「破」】
そんなバランスに最初の亀裂が生じたのは議会開設にむけた意見書でした。右大臣岩倉具視の求めに応じて、伊藤博文、井上馨、黒田清隆、山形有朋ら有力政治家が議会開設についての意見書を提出する中、開明派の大隈はなぜか意見書を提出しません。
ところが大隈は突然左大臣(岩倉より上位)に密奏という形で意見書を提出、その内容は伊藤らの意見よりもさらに急進的なイギリス議会方式であった。頭越しの裏切り行為に伊藤は激怒します。

挿入歌「俺、聞いてないんだけど」(歌:伊藤博文)

【みどころ「急」】
密奏事件は、大隈が伊藤に謝罪し、新政府はふたたび安定を取り戻したかにみえました。しかし、北海道開拓使の官有物を不当に安い金額で民間に払い下げるという、どこかで聞いたような事件で黒田が批判の標的にされます。唐突にでてきたスクープ、一体だれが?黒田の頭には北海道利権で三菱とつながりのある福沢諭吉、そことつながる大隈の名前が浮かび上がります。

挿入歌「大隈、おまえなのか」(歌:黒田清隆)

この件で勢いを増す自由民権運動にこらえきれなくなった政府は、北海道開拓使払い下げの取りやめと、議会開設を決断します。そして、意見書で大隈から裏切られた伊藤、おなじく大隈に裏切りの疑惑を持つ黒田、ついに新政府は大隈の追放を決断することになります。

このような人間ドラマから藩閥体制、欽定憲法という戦前の国家体制、さらにその後の戦争の時代へと日本は走り始めます。

エンディング曲「薩長で行こう」(歌:伊藤博文、黒田清隆、他薩長勢オールキャスト)

配役:
伊藤博文:長州出身。薩摩と長州のパワーバランスに気を遣う調整役タイプ。当初はイギリス議会方式派であったはずだが、井上毅の入れ知恵であっさり乗り換えるなど、主体性のなさも。のちに日本初の総理大臣になることは本人が一番想定外だったのではないか。

黒田清隆:薩摩出身。本音としては議会開設などどうでもよく、経済優先派。北海道開拓に熱心で、薩摩ネットワークを活用してこの資産を五代に払い下げようとするが脇が甘く、東京横浜毎日新聞砲を食らってしまう。文春砲の先駆けである。先駆けといえば、現代においても似たような疑惑があった気がしてならないが、おなかを壊して退任した令和の宰相と違い、黒田はその後総理大臣など要職を歴任する。

大隈重信:肥前出身。テスト前に「全然勉強してないよ~」と言っておきながら最高点をだして嫌われるタイプ。肥前というマイナー藩出身でありながら、政治手腕でトップの参議に昇り詰める。在野の福沢諭吉にはたびたびアドバイスをもらっているらしい。その後自身が設立した現在の早稲田大学が慶応とライバル関係となることは想像もしていなかったと思われる。

         <本件についてのお問い合わせ>
            明治政府歌劇団:
         meiji14_musical@hanbatsu.gr.jp


近代日本の歴史の転換点となった明治14年の政変に興味が湧いた方は、ぜひインターナショナル新書『明治十四年の政変』(久保田哲・著)もご覧ください。

NHKBS『英雄たちの選択』(2021年8月11日(水)夜8:00~)で「明治14年の政変」をテーマに放映されます。著者の久保田哲さんがスタジオゲストで出演します。こちらもどうぞご覧ください。



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