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新連載『みんなが気になる「顔」の話』始まります!

こんにちは、集英社インターナショナル・編集者のMSと申します。

いきなりですが、コンピュータの世界では「インターフェース」という言葉がよく使われるのはご存じですよね。

インターフェースとはコンピュータと人間が接触する「境界面」のこと。
たとえばディスプレイもそうですし、キーボードやマウスなども典型的なインターフェースですね。最近ではマイクやカメラも一般的なインターフェースになりつつあります(Zoom会議など)。

スマホなどでは画面そのものが出力と入力の両方の役割を果たしています。

こうしたインターフェースがなければ、せっかくのパソコンやスマホもただの箱。ほとんどのユーザーにとっては、それがなければマシンの中で何が行なわれているかを知るよしもありません。いわゆる「ブラックボックス」になってしまいます。

さて、そこで人間の話です。

私たち人間にとっての「インターフェース」とは何でしょうか?

……え? もうネタバレしてる?

言葉より雄弁なもの、それは……

あ、たしかにそうですね(汗)

「インターフェース」という言葉が示すとおり、「顔」こそが最大のインター「フェイス」です。顔、そしてその顔が表わす表情があるからこそ、私たちは相手の気持ちを推しはかったりすることができます。

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もちろん、このほかにも手や足の状態(震えているとか、拳を握っているとか)、体の動き(ぴょんぴょん飛び跳ねているとか)も、そしてもちろん言語表現もその人の気持ちを表わしているわけですが、でも、顔や表情がなかったとしたら……その人の気持ちを私たちはどのくらい理解できるでしょう。

人間はいかに言葉を飾っていても、本心がついつい顔に現われる存在です。人の顔は、ある時は言葉よりも雄弁。

だからこそ顔や表情がなければ、他人が何を考えているか分からない、不気味な「ブラックボックス」に見えてしまうかもしれません。

だからこそ、私たちはメールやSMSでも「顔文字」を使わずにはいられないのでしょうね。

書き手は「顔や表情」の研究者・山口真美さん

今回から始まる新連載『みんなが気になる「顔」の話』は、そうした人間の顔や表情にまつわる面白い研究、最新の研究を紹介する科学エッセイです。

書き手は中央大学で心理学を研究している山口真美さん。山口さんの研究室では、赤ちゃんがお母さんやお父さん、そのほかの人たちの「顔」にどのように反応しているかを研究することによって、人間にとっての「顔」や「表情」がどのような意味を持っているかを調べています。

「なぜ、赤ちゃんなのか」ですって?

考えてみてください。赤ちゃんは最もか弱い存在。大人たち(中でも親)が世話をしてくれなければ、あっという間に生存の危機に瀕してしまうと言っても、けっして大袈裟ではありません。

だから、赤ちゃんは周囲の大人たちの顔や表情をつねに観察していますし、また、それと同時に、周囲の大人たちが世話をしたくなるような顔や表情をしています。

「顔と表情をめぐる冒険」の始まり!

そう、顔や表情は赤ちゃんにとって大事な大事な「生命線」なのです。

そもそも人間は集団生活を送る動物。だからこそ、他人と協調して生きて行くには、顔や表情で自分の気持ちを表現し、相手の気持ちを「忖度」する能力を発達せざるをえなかったのです。

顔や表情は大人になってからも大きな「命綱」と言えます。初めての人と会う就職面接などでは、面接官は受験者の表情からその人の人柄や能力を想像しようとしますし、恋愛では自分の好きな人が今、何を考えているかを察するために、その人の顔をいつもじっと見つめてしまいます。

では、そうした局面で、私たちは相手の顔のどこに着目しているのでしょうか──それは目? 口元? それとも全体の表情?

そもそも、相手に好意を持たれる顔ってどんなだろう?

そうやって考え出すと、キリがないし、だんだん不安になってくるというもの。

この連載は、そうしたあなたのお悩みや不安に「科学」の角度からヒントを差し上げようというもの。科学というとむずかしそうに聞こえるかもしれませんが、身近な問題ですから、きっと面白く読んでもらえると信じています。

さて、いよいよ「顔と表情をめぐる冒険」の始まりです。どうぞご愛読を!
(編集MS)

山口先生プロフィール

山口真美(やまぐち・まさみ)
お茶の水女子大学大学院人間文化研究科人間発達学専攻修了後、ATR人間情報通信研究所・福島大学生涯学習教育研究センターを経て、中央大学文学部心理学研究室教授。博士(人文科学)。
日本赤ちゃん学会副理事長、日本顔学会、日本心理学会理事。新学術領域「トランスカルチャー状況下における顔身体学の構築―多文化をつなぐ顔と身体表現」のリーダーとして、縄文土器、古代ギリシャやローマの絵画や彫像、日本の中世の絵巻物などに描かれた顔や身体、しぐさについて、当時の人々の身体に対する考えを想像しながら学んでいる。近著に『自分の顔が好きですか?-「顔」の心理学 』(岩波ジュニア新書)がある。
山口真美研究室HP

毎月第1&第3金曜日に更新予定です! どうぞお楽しみに


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