「#読書の秋2021」読書感想文コンテスト結果発表!
集英社インターナショナルとしては初参加の「#読書の秋2021」読書感想文コンテストでしたが、非常にたくさんのご応募をいただきました。
担当編集者をはじめ、審査員一同ひとつひとつ大切に拝読しました。
感想文のテイストは十人十色。課題図書を手に取ってくださった皆さまの顔が見えるようで、大変嬉しく思いました。感想文をお寄せくださった皆さま、本当にありがとうございました!
課題図書はこの5冊でした!
『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』川内有緒
『エンド・オブ・ライフ』佐々涼子
『人間の土地へ』小松由佳
『性差の日本史』国立歴史民俗博物館 (監修) 「性差の日本史」展示プロジェクト (編)
『物理学者のすごい思考法』橋本幸士
以下、選考の結果を各書籍の担当編集者のコメントとともにお伝えします。
最優秀賞1名、優秀賞4名の感想文を是非ご覧ください。
【最優秀賞】
「アートへの『旅路』を共に歩く」 rmiaさん
(課題図書:『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』川内有緒)
〈担当編集者より〉
お父さまとの思い出を交えながら、人と一緒に鑑賞することの面白さ、アートの力について深いところまで書いてくださったご感想、本当にありがとうございます。
「この会話を聞いている(読んでいる)だけで、読み手の私も、ものすごく楽しい。」という一文、一緒に鑑賞し、会話したような気持ちになれる本書の特徴を表してくださっていて、とても嬉しく思いました。
私の勝手な感想ですが、rmiaさんは、本書にある「時を宝物にすることはできる」という言葉を実現されている方かと存じます。今度、美術鑑賞をされるときは、バーチャル白鳥さんならぬ、バーチャルお父様と一緒に会話しながら見られるのではないでしょうか。
温かく心に沁みる文章をありがとうございました。評者全員心を動かされ、最優秀賞とさせていただきました。
【優秀賞】
「Review 3 ビリビリ 」 みらいさん
(課題図書:『人間の土地へ』小松由佳)
〈担当編集者より〉
『人間の土地へ』に感想文をお送りいただき、ありがとうございました。みらいさんの感想文は、著者の小松由佳さんが伝えたかったことを、とても上手く表現されていて、ひときわ心に響きました。
NHKの朝ドラの会話やご自身の体験など、身近な話題を使いながら、この本の大きなテーマでもある「人間と土地」との関係に迫るなど、オリジナリティ溢れる表現力に感服しました。
みらいさんの書かれたとおり、シリア内戦という、得てして硬く、紋切り型になりがちなテーマを、我がこととして読者に感じさせてくれる小松さんは稀有な書き手です。これからもこのテーマを追い、書き続けていますので、引き続き、応援よろしくお願いいたします。
「『目の見えない白鳥さんとアートを見に行く』を読んで、わたしは嗅覚障害と向き合う 」 うめほしこさん
(課題図書:『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』川内有緒)
〈担当編集者より〉
白鳥さんの魅力、本書の魅力を、とても丁寧に書いてくださって、ありがとうございます。
嗅覚障害のこと、ご自身の葛藤についても興味深く拝読しました。「けれどそうやって落ち込むようなことはとうに終えた。」というお言葉に感動しました。白鳥さんがラジオで「不自由はしていないから自分は“目が不自由”ではない」と言われたことを思い出しました。
そしてご自身に障害があるからこそ、よりリアルに感じられたかもしれない白鳥さんの内面や行動に関するご感想に引き込まれました。
最後の「ニヤニヤしてしまう」お考えを拝読し、私も楽しい気持ちになりました。
本書がそれを思いつくきっかけになったと思うと、とても嬉しいです。
「私は物理が苦手。でもこの本はおもしろい!」 アヤオさん
(課題図書:『物理学者のすごい思考法』橋本幸士)
〈担当編集者より〉
『物理学者のすごい思考法』に素晴らしい感想文をお送りいただき、ありがとうございました。小学生に理科を教えていらっしゃったとのこと。そんな方がこの新書をどう読まれたのか興味津々で拝読しました。
学生時代物理が苦手だった人でも、クスクス笑いながら読めるのがこの本の特徴。その面白さをとても上手に伝えていらっしゃる感想文でした。その面白さの核心は、もちろん日常生活の隅々まで物理学で考えてしまう著者、橋本幸士さんの思考法なのですが、アヤオさんのご指摘どおり、要所要所でピリッと著者も思いつかなかった解決法を提案する奥様の一言がとても大きいのです。
橋本先生は続編も執筆中ですので、これからも応援のほど、何卒よろしくお願いいたします。
「孤独のまま進む」 いわたんばりんさん
(課題図書:『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』川内有緒)
〈担当編集者より〉
孤独と向き合うこと、自分との対話、他者との対話……ご自身が作品と向き合い、表現するアーティストであるからこそでしょうか。自分自身と向き合うこと、他者とのコミュニケーションへの洞察にすがすがしい感動を覚え、ひとつひとつの文章を嬉しく拝読しました。
“「目の見えない白鳥さんとアートを見にいく」という行動”というお言葉、とても新鮮でした。そしてその行動を「やりたかったコミュニケーションの姿」と、評してくださったこと、ああそうですね、と心から共感しました。
「思えば、誰かから否定されることなど大したことではないのだ。」という力強いお言葉と、最後の段落の突き抜けた楽しさ。こんなふうに読んでくださったことに感謝いたします。
いかがでしたでしょうか?
こうした感想文が読まれることで、また新たにどなたかの読書の扉が開くかもしれないと思うと、編集作業にも力が入ります。
これからもすばらしい著者の皆さんと一緒に、「感想文を書きたい」と思っていただけるような本づくりに励みます!!