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【連載】みんなが気になる「顔」の話 By 山口真美

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「顔」や「表情」の謎を研究する心理学者・山口真美さんの連載エッセイ。人間は、他人の顔や表情、さらには自分の顔をつねに気にしていますが、その理由を、山口さん自身が行なっている研究や… もっと読む
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新連載『みんなが気になる「顔」の話』始まります!

こんにちは、集英社インターナショナル・編集者のMSと申します。 いきなりですが、コンピュータの世界では「インターフェース」という言葉がよく使われるのはご存じですよね。 インターフェースとはコンピュータと人間が接触する「境界面」のこと。 たとえばディスプレイもそうですし、キーボードやマウスなども典型的なインターフェースですね。最近ではマイクやカメラも一般的なインターフェースになりつつあります(Zoom会議など)。 スマホなどでは画面そのものが出力と入力の両方の役割を果たし

第2回 なぜ幽霊は人の姿をしているのか(後)

(前編より続く) 人は、人の顔を見出すことに長けているのです。 人が生きていくうえで、いち早く人を見出すことは、生存上の重要な課題だからです。群衆の中に親しい人を見つけ出すこと。暗闇にまぎれてこっそりつけ回す怪しい人の存在に気づくこと。人は、人とかかわりを持って生きる存在なのですから、相手が誰であるかの顔を見出すことはなによりも大切なことなのです。 「他人の顔が見えなくなる」障害とは?こうした顔認識を支えるのが、人の顔や姿かたちを優先して処理しようとする、脳の仕組みです。

第3回 日本人はなぜ「アニメ顔」が好きなのだろう(前編)

みなさんはアニメの登場人物の顔が好きですか? 私は、初期のディズニー映画や手塚治虫のデフォルメされたキャラクターは、曲線で描かれた顔のバランスがよくて好きでした。 しかし、そこから進化した、現在のアニメの顔は目のデフォルメが強すぎて、そのせいか個性もなくなって見えて、まるで記号としての顔が描かれているのではと感じています。 「不気味の谷」これは私の年のせいで、アニメ好きの方には申し訳ないですが。ただ、最近のアニメは人物以外の描写、たとえば街の空気感や雨や風といった天候の変化

第3回 日本人はなぜ「アニメ顔」が好きなのだろう(後編)

前編はこちら 「子どもっぽい」顔が持つ印象についてアメリカで面白い研究がなされていますのでご紹介しましょう。 結論を先に言えば、子どもっぽい顔は、正直で優しくあたたかく見える一方で、身体的に弱く、格下に見えるということです。 子どもっぽい顔はリスペクトされないアメリカ社会その証拠というべきか、同じくアメリカで、リーダーとしてふさわしい顔を大学生に選ばせると、子どもっぽい顔よりも大人っぽい長い顔を選ぶという傾向がみられたのです。子どもっぽい顔は格下に見えて、リーダーにはふさ