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【連載】みんなが気になる「顔」の話 By 山口真美

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「顔」や「表情」の謎を研究する心理学者・山口真美さんの連載エッセイ。人間は、他人の顔や表情、さらには自分の顔をつねに気にしていますが、その理由を、山口さん自身が行なっている研究や… もっと読む
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#表情筋

新連載『みんなが気になる「顔」の話』始まります!

こんにちは、集英社インターナショナル・編集者のMSと申します。 いきなりですが、コンピュータの世界では「インターフェース」という言葉がよく使われるのはご存じですよね。 インターフェースとはコンピュータと人間が接触する「境界面」のこと。 たとえばディスプレイもそうですし、キーボードやマウスなども典型的なインターフェースですね。最近ではマイクやカメラも一般的なインターフェースになりつつあります(Zoom会議など)。 スマホなどでは画面そのものが出力と入力の両方の役割を果たし

第4回 私、顔面麻痺になりました(前編)

今回は私の顔の話をしましょう。 10年前のことですが、顔面麻痺になりました。 帯状疱疹ウイルスが原因の、ラムゼイハント症候群というものでした。 顔研究者なのに、自分の顔面麻痺にはなかなか気づかなかった。そんなお話です。 「顔面筋のプロ」なのに 実は私は大学院時代に、実験で顔面筋の働きを測っていました。ですから、顔面のことについては、いささか詳しいのです。 機械の揃った生理人類学の教授の実験室に居候して、作り笑いや偽の表情をつくりだすときの顔の筋肉の動きを調べていたのです。

第4回 私、顔面麻痺になりました(後編)

前編のあらすじ 今から10年ほど前のこと、著者は突然、顔面麻痺になってしまった。その原因は帯状疱疹。日々のストレスが溜まった結果、表情の神経が麻痺してしまった。主に顔の右側が麻痺したのだが、いちばん困ったのは「食事」。なぜか味覚も変化していて、料理の微妙な味わいが分からなくなったのだった。 表情筋の働きで、発声も変わってくるちなみに麻痺の後遺症の治療とリハビリは、鍼灸院で行いました(大学病院の治療は、麻痺の評価と薬の処方で終わりだったので)。 そこでつくづく感じたのは、か