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連載 言語の天才まで1億光年 高野秀行

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「誰も行かないところに行き、誰もやらないことをやり、誰も書かない本を書く」をモットーにしているノンフィクション作家、高野秀行さん。辺境の地では、テキストはもちろん辞書もないような… もっと読む
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#言語

ヨーロッパ・南米篇(4)アンラッキーな言語の天才

スペイン語の方言という認識で学んだポルトガル語。3カ月、しっかり準備したはずが、いざブラジルに行って耳にしたのは……。          

 コロンビア旅行の翌年、今度はアマゾン川を河口から源流まで現地の定期船を乗り継いで旅することになった(※1)。相変わらず一介の大学生(6年生)ながら、アマゾンのガイドブックを書くという仕事を請け負ったのである。取材スタッフは私のほか、カメラマンの鈴木邦弘さん

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ヨーロッパ・南米篇(3)コロンビア、魔術的リアリズムの旅

 パロマ先生に習ったスペイン語を携えて高野さんが向かったのは、治安の悪い、南米コロンビア。未来が見えるという幻覚剤を求める道中、高野さんが身をもって経験したのは、ラテンアメリカ文学の世界でした。

 私はスペイン語圏を旅したことが5回ある。最初は南米のコロンビア、次が同じくペルーとボリビア、そしてスペインにも2回行き、最後は2017年で、ペルーを再び訪れた。
 中でも圧倒的に印象深いのは、スペイン

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ヨーロッパ・南米編(1)イタリア語との初対決デスマッチ

今回からヨーロッパ・南米篇がスタートします!
1回目のテーマはイタリア語。ほとんどの場合、現地探索や調査のための手段として言語を学んできた高野さんでしたが、イタリア語は事情が違っていました。

 私は7年間、大学の学部に在籍し、その間、日本語と英語以外に6つの言語を学んだり喋ったりしていた。フランス語、リンガラ語、ボミタバ語、スペイン語、スワヒリ語、ポルトガル語である。
 ずいぶん多岐にわたるよう

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アフリカ篇(9)民族語の世界とムベンベの正体

メジャーテレビ番組のアルバイトで再びコンゴへ向かった高野さん。その分け入った先はまたしても広大な言語の世界! アフリカ篇、いよいよ佳境です。

 公式には早大探検部によるムベンベ探査は2回である。1回目は私と向井で行った偵察、そして2回目がテレ湖まで行った本番だ。しかし、あまり知られていないが、実は3回目があった。
 当時人気のあったクイズ番組「なるほど! ザ・ワールド」でムベンベ探索を目的とした

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アフリカ篇(8) アイデンティティ・クライシスとボミタバ語学習

全く現れないムベンベ、なぜか足りない食料……。今回は飢えが引き起こしたアイデンティティクライシスに陥った高野さんがすがったもの──仰天です。

 私たちはテレ湖に1カ月間滞在する予定で、その分の食料を用意して持ってきたはずなのに、実は半分ぐらいしか湖に届けられなかった。後でわかったことだが、最初から村の人々に数をごまかされたうえ、運搬の途中でポーターたちが森の中に隠していたという。
 当然のこと

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アフリカ篇(7) 初体験の民族語はボミタバ語

  今回はいよいよムベンベ探索へ出発。英語、フランス語、リンガラ語を駆使し、大活躍の高野さんが味わった絶頂と失望とは。

 前にも述べたように、〈コンゴ〉を含め、多くのアフリカ諸国の人たちの言語観は3階建ての建物のような階層をなしている。すなわち最上階には高級デパートのような英語、フランス語、ポルトガル語などヨーロッパの言語の世界が君臨し、2階には中央市場のような地域の共通語の世界が広がり、そして

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アフリカ篇(6) 仲良くなる特効薬リンガラ語の強烈な副作用

リンガラ語を習得し、ウケをとっていたら、現地の人との間で何が起きたか。抱腹の高野ワールドをご堪能ください。

 現地の共通語であるリンガラ語を話すことによって、桁違いのスピードと深さで〈コンゴ〉の人たちと仲良くなる方法を確立した私たちだったが、まもなくこの効きすぎる薬の強烈な副作用に悩まされはじめた。
「仲良くなる」とは、互いの距離が近くなることであるが、日本人と〈コンゴ〉の人たちでは距離感がち

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アフリカ篇(5)謎の怪獣はフランス語で何と呼ぶか

 コンゴとザイールで、高野さんはフランス語とリンガラ語を混ぜて話すことも。今回は、民族語、リンガラ語、フランス語を話している現地の人々の言語事情をわかりやすく解説。 

 この連載を読んでいる方は、私がさぞやリンガラ語に堪能だったように思われるかもしれないが、残念ながらそうではない。最初は片言程度だったし、その後何度もコンゴへ通ううちにある程度上達したが、それでもリンガラ語だけの会話は難しく、フラ

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アフリカ篇(4)ウケる! リンガラ語学習

 なんと、怪獣探しの隊員のために、リンガラ語のテキストまで作成した高野さん。現地では物真似リンガラ語でウケを取りつつ、コンゴとザイールの違いなどを学んでいきました。 

 私と向井は結局、ザイールとコンゴに2カ月ほど滞在した。コンゴ政府と交渉したり、ムベンベが棲むと言われる湖の周辺の村々を調査して歩きながら、リンガラ語をせっせと覚えていった。帰国してから、私は他のコンゴ隊メンバーのために、リンガラ

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アフリカ篇(3)言語ビッグバン

 フランス語とリンガラ語を携え、初めてアフリカの地へ。そこで高野さんを迎えたのは強烈なリンガラ音楽と、人々の悲鳴! そして高野さんに起きたこととは──。 

 初めてアフリカの地に降り立った日のことは忘れられない。 
 私はムベンベ探索の偵察という名目で、向井という後輩と2人、パリ経由でザイールの首都キンシャサを訪れた。1987年のことだ。
 本来の目的地であるコンゴの方は前にも述べたように日本に

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アフリカ篇(2)新たな敵とリンガラ語

コンゴでの怪獣さがしのためフランス語だけでなく、リンガラ語を習おうと決意した高野さん。きっかっけは突然出現したテレビ番組制作会社の存在でした……。

 私の言語人生(なんてものがあればだが)を振り返ると、初期の段階で、節目節目に不思議な力が働いていたと思わざるをえない。コンゴへ行くためにはフランス語ができれば十分だったのに、途中から並行してリンガラ語を学習することになってしまったのだ。
 理由は、

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アフリカ篇(1)初めて「魔法」を手に入れた日

 高野秀行さんが自らの言語体験をたどる連載、第一回は、暗黒舞踏ダンサーから習ったフランス語について。その目的と、特異ながら効果的な学習方法とは。

 私は無類の言語好きで、これまで20を超える言語を習い、実際に現地で使っている。
 ・・・・・・などと言うと、「やっぱり言語の天才なんですね!」などと感嘆されてしまうのだが、残念ながら現実はまるでちがう。
 私が使える言語のなかで、最も得意なのは(日本

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