連載 言語の天才まで1億光年 高野秀行

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ヨーロッパ・南米篇(4)アンラッキーな言語の天才

スペイン語の方言という認識で学んだポルトガル語。3カ月、しっかり準備したはずが、いざブラジルに行って耳にしたのは……。            コロンビア旅行の翌年、今度はアマゾン川を河口から源流まで現地の定期船を乗り継いで旅することになった(※1)。相変わらず一介の大学生(6年生)…

ヨーロッパ・南米篇(3)コロンビア、魔術的リアリズムの旅

 パロマ先生に習ったスペイン語を携えて高野さんが向かったのは、治安の悪い、南米コロンビア。未来が見えるという幻覚剤を求める道中、高野さんが身をもって経験したのは、ラテンアメリカ文学の世界でした。  私はスペイン語圏を旅したことが5回ある。最初は南米のコロンビア、次が同じくペルーと…

ヨーロッパ・南米編(1)イタリア語との初対決デスマッチ

今回からヨーロッパ・南米篇がスタートします! 1回目のテーマはイタリア語。ほとんどの場合、現地探索や調査のための手段として言語を学んできた高野さんでしたが、イタリア語は事情が違っていました。  私は7年間、大学の学部に在籍し、その間、日本語と英語以外に6つの言語を学んだり喋ったりして…

アフリカ篇(9)民族語の世界とムベンベの正体

メジャーテレビ番組のアルバイトで再びコンゴへ向かった高野さん。その分け入った先はまたしても広大な言語の世界! アフリカ篇、いよいよ佳境です。  公式には早大探検部によるムベンベ探査は2回である。1回目は私と向井で行った偵察、そして2回目がテレ湖まで行った本番だ。しかし、あまり知られ…

アフリカ篇(8) アイデンティティ・クライシスとボミタバ語学習

全く現れないムベンベ、なぜか足りない食料……。今回は飢えが引き起こしたアイデンティティクライシスに陥った高野さんがすがったもの──仰天です。  私たちはテレ湖に1カ月間滞在する予定で、その分の食料を用意して持ってきたはずなのに、実は半分ぐらいしか湖に届けられなかった。後でわかった…

アフリカ篇(7) 初体験の民族語はボミタバ語

  今回はいよいよムベンベ探索へ出発。英語、フランス語、リンガラ語を駆使し、大活躍の高野さんが味わった絶頂と失望とは。  前にも述べたように、〈コンゴ〉を含め、多くのアフリカ諸国の人たちの言語観は3階建ての建物のような階層をなしている。すなわち最上階には高級デパートのような英語、…

アフリカ篇(6) 仲良くなる特効薬リンガラ語の強烈な副作用

リンガラ語を習得し、ウケをとっていたら、現地の人との間で何が起きたか。抱腹の高野ワールドをご堪能ください。  現地の共通語であるリンガラ語を話すことによって、桁違いのスピードと深さで〈コンゴ〉の人たちと仲良くなる方法を確立した私たちだったが、まもなくこの効きすぎる薬の強烈な副作…

アフリカ篇(5)謎の怪獣はフランス語で何と呼ぶか

 コンゴとザイールで、高野さんはフランス語とリンガラ語を混ぜて話すことも。今回は、民族語、リンガラ語、フランス語を話している現地の人々の言語事情をわかりやすく解説。   この連載を読んでいる方は、私がさぞやリンガラ語に堪能だったように思われるかもしれないが、残念ながらそうではない…

アフリカ篇(4)ウケる! リンガラ語学習

 なんと、怪獣探しの隊員のために、リンガラ語のテキストまで作成した高野さん。現地では物真似リンガラ語でウケを取りつつ、コンゴとザイールの違いなどを学んでいきました。   私と向井は結局、ザイールとコンゴに2カ月ほど滞在した。コンゴ政府と交渉したり、ムベンベが棲むと言われる湖の周辺…

アフリカ篇(3)言語ビッグバン

 フランス語とリンガラ語を携え、初めてアフリカの地へ。そこで高野さんを迎えたのは強烈なリンガラ音楽と、人々の悲鳴! そして高野さんに起きたこととは──。   初めてアフリカの地に降り立った日のことは忘れられない。   私はムベンベ探索の偵察という名目で、向井という後輩と2人、パリ経…