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90万個以上売れている大ヒット商品「ネッククーラー」って何?

秋葉原を拠点に、アイデアグッズやパソコン周辺機器、面白家電を販売している「サンコー」という会社をご存じでしょうか。
「面白くて役に立つ」をキーワードにユニークな新商品を年間100点以上も発売し、2021年には前年比2倍以上の売上を叩き出して注目を集めている会社です。

6月7日に発売した新書『スキを突く経営 面白家電のサンコーはなぜウケるのか』では、同社トップで著者の山光博康さんが成長の秘密を大公開していますが、ここではその中から、急成長の牽引役となった商品・ネッククーラーシリーズについてのお話を再構成して、ご紹介します。

「世界最小の家電メーカー」である私たちサンコーを象徴する商品は、なんと言っても、ネッククーラーです。
ネッククーラーは、いまや年間50万個以上を販売している、サンコー史上最大のヒット商品ですが、2015年からモデルチェンジと改良を重ねてきて2022年夏の段階では第6世代になっています。 

ネッククーラーは、ヘッドホンを首から下げるようにして装着し、首のまわりの頸動脈あたりの肌を冷やすアイテムです。
ヘッドホンに例えるなら耳に当たる位置に金属プレートが装備されていて、それが冷たくなって首を直接冷やします。同様のヘッドホン型として、左右に小型扇風機がついている商品もありますが、そこが決定的にちがいます。

現行商品である『ネッククーラー Slim』は、電源をオンにしたら2秒程度でたちまち冷たくなります。マックスのモードでは、環境温度より17℃低くなりますので、たとえば外気温が35℃だったら、18℃程度まで冷える性能をもっています。しっかり冷えて気分が楽になったら、ゆらぎモードに切り替えると、ちょうどいい冷たさを維持します。

首を直接冷やすということでは、ライオンさんの『冷えピタ』を首に貼ったときとか、白元アースさんの『アイスノン首もとひんやり氷結ベルト』などと同じなのですが、サンコーのネッククーラーシリーズは電気製品であることと、見た目が『攻殻機動隊』に出てくる未来的なデバイスのような、カッコいいデザインになっているところが売りです。
 

〈猛暑対策に引っ張りだこ〉

発売当初は、暑さに悩んでいた新しモノ好きの若い人たちにパッと人気が出て売れ始めたのですが、いまやそれだけではありません。

炎天下で働く農家さんや工事現場で働くみなさん、空調のない工場や倉庫などで働くみなさん、発熱を伴う作業が必要な厨房や溶接現場で働くみなさんに、熱中症予防としてとても役立つというので買っていただきました。JA(農協グループ)さんでも大量導入してくれましたし、一括で1万個を購入してくださる企業もあり、おかげさまで超大ヒット商品になりました。

地球温暖化の影響もあって、近年は夏の猛暑が深刻な問題になっていて、個人も企業も熱中症対策をしっかりやらなければならなくなりました。ファンがついた空調服も大いに売れていますが、私たちのネッククーラーもその対策のひとつとして選んでいただいています。
 

〈改良に改良を重ねる〉

ネッククーラーが超大ヒット商品に育ったのは、モデルチェンジのたびに改良を重ねて使い勝手をどんどん良くしていったのと、デザインをカッコ良くしていったことが大きな理由だと考えています。

現行商品は首の両側を冷やすものですが、最初のモデルは1か所しか冷やせませんでした。「首の両側を冷やした方がいい」などというマーケットの意見を取り入れながら、改良を重ねてきたのです。つまり、消費者のみなさんに育てていただいた結果、今日の大ヒットにつながりました。

実はネッククーラーが大ヒット商品に育つまでには、それなりの時間がかかっています。そのスタートは当時流行し始めたハンディ扇風機でした。
暑いときには気軽に利用できて便利なアイテムですが、猛暑になると効き目がありません。扇風機ですから、風を起こして体のまわりにある熱い空気を吹き飛ばしたり、汗を乾かして気化熱を奪って涼しくなるという原理なのですが、外気温が体温を超える猛暑になると、熱風を起こしているだけになってしまいます。

こうなると涼しいどころか、生暖かい風になるので、かえって気持ちがわるくなる。どんなに暑くなっても涼しさを確保できるような商品ではなかったのです。
 
次回は歴代モデルの変遷をご紹介していきましょう。(続く)


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