【リモートワーク時代にも重要な「ことば」の使い方】『ことばのトリセツ』は独学の友
今回ご紹介する文系フェア書目は、『ことばのトリセツ』。
『女の機嫌の直し方』につづいて人工知能研究者の黒川伊保子さんに執筆していただいた、インターナショナル新書の人気タイトルです。
担当編集者に企画立ち上げ当時のことから、いま改めて読者のみなさんにお伝えしたいことを聞いてみました。
企画立案のきっかけ
黒川先生に書籍企画のご相談にあがった際、「ことばの正体」というテーマでお話をいただきました。
長年、語感分析をされている黒川先生にとって「ことば」はまさにライフワークとも言える大切なテーマで、とても光栄に感じたのを覚えています。
口の中で音になった瞬間、「ことば」には意味が生まれている。
では「ことば」を場面ごとにどのように使い分けたらよいのか。
まさに『ことばのトリセツ』と呼ぶにふさわしい一冊を目指して編集に取り組みました。
独学本として
コミュニケーションというのは、対人関係のなかで学ぶイメージが強いですが、自分の発する言葉の「音」が相手にどのような印象を与えているのかを一人でじっくり考えることも、とても大事なのではないかと思います。
ぜひ本書で紹介されている「ことば」を、実際に口の中で起こっていることを意識しながら声に出してみてください。周りに人がいるとなかなか発声しにくくても、一人でなら大丈夫!
「はい」「ええ」「そう」異なる三つの相槌をどう使い分けたらよいのか。本書の説明を読みながら、声に出してみることで、それぞれの「ことば」の音に意味があることがよくわかると思います。
読者のみなさんに伝えたいこと
多くの方は、失敗してしまったときには「すみません」ではなく、より丁寧な「申し訳ありません」を使うようにと教わってきたのではないでしょうか。
しかし本書には、たとえば会議の資料の枚数を間違えてしまったときなどは、即座に「すみません!」と言って走り出すのが正解だとあります。S音はその息の速さからして、スピード感のある音だというのです。たしかに急いでいるときに「申し訳ありません」と発するのはスピード感に欠ける印象があります。
これまで無意識に使っていたこれらのような「ことば」も、語感分析をもとに説明されることで、その印象ががらりと変わります。音に秘められた「ことば」の意味の世界をぜひ覗いてみてください。
リモートワークやマスク越しでの会話が当たり前となった現在、お互いの表情が見えずコミュニケーションが難しくなったと感じている人も多いのではないでしょうか?
『ことばのトリセツ』を読みながら、より相手に気持ちが伝わることばの使い方について独学してみてはいかがでしょう!
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