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【世界は「プランB」で出来ている 第0回】プランBとは何か?

何事においても「プラン」が重要であることは今さら言うまでもない。だが、どんな計画もそのままでは成功しない。なぜなら現実はつねに複雑で、我々の計画を裏切るからだ。そこで重要になってくるのが「次の一手」である。英語ではそれを「プランB」である。
弊社新刊『「プランB」の教科書』の著者である尾崎弘之氏(神戸大学)にそのエッセンスを語ってもらうのが本連載である。

尾崎弘之氏

「プランB」(通常の日本語訳は「代替策」)は英語圏で日常的に使われている言葉である。かしこまった表現だと「Alternative Plan」と言うが、プランA(当初の計画)がうまく行かない時は、「プランBはないのか?」といった表現が一般的に使われる。
 
「プランB」のことを単なる「代替策」と思っている人が多いが、それは「プランB」の重要さを見誤っている。「プランB」は単なる次善の策でなく、組織が必ず用意しなければならない「次の一手」である。
 
なぜ、「プランB」を用意しなければならないのか?それは苦労して作った「プランA」は、ほぼ間違いなく破綻するからだ。
 
破綻する理由は枚挙にいとまがない。「見通しの甘さ」、「外部環境の変化」、「経営者の能力不足」、「競合他社の戦略」、「政治の動き」、「消費者の変化」、「自然災害」……などなど。新型コロナウイルスとロシアのウクライナ侵攻は予測不能な要因の最たるものだ。要するにプランAが成功するかどうかは「神様」でなければ予測できない。

そうであれば、「プランA」はかならず修正を強いられる。あるいは、失敗すると仮定した上で「その時にどうするか」という次の一手、つまり「プランB」を経営者は引き出しに持っていなければならない。
 
ところが、準備した「プランB」はなぜか使われずお蔵入りになることが多い。皆が「このプランAはダメだ」と思っていても、そのプランAが温存されることが実に多い。なぜ、ダメな「プランA」は「暴走」を続けるのか?
 
作家の山本七平氏によると、「ことの良し悪しの議論すらはばかれる」という「空気」がダメな「プランA」を温存させている。会議で「プランA」を変えることが権力者の機嫌を損ねるなど、その場の「空気」に水を差すのであれば、議論の正しさと関係なく「誰かから攻撃される」ことが分かっている。したがって、内心ダメだと思っても皆発言しなくなる。現代語の「KY」(空気を読まない)もまさにそれである。
 
「プランB」発動を妨げるのは「空気」だけではない。「集団思考」「組織バイアス」「集団的保守主義」「現状維持バイアス」「代表性ヒューリスティックス」「認知バイアス」など心理学研究によって指摘されている多くの要因が「プランB」の発動を妨げている。
 
では、「プランB」を発動するためにどんな手立てがあるのか? 筆者は組織に下記のような施策を提唱する。
 
·     「悪魔の代弁者」の助けを借りること
·      アイデアの集約と実行のための仕組みを組織内に作ること
·      AIにできない課題発見をヒトが行うこと
·      周囲を説得する方法をアリストテレスに学ぶこと

(以下に続きます)


「プランB」が発動できない背景と理由、その対策の分析について詳しく知りたい方は拙書『「プランB」の教科書』(インターナショナル新書)をぜひご参照いただきたい。

上記リンクより、立ち読みページもぜひご覧ください。
本連載の全記事はこちらからどうぞ。

著者プロフィール
尾崎 弘之(おざき ひろゆき)
1960年、福岡市生まれ。1984年東京大学法学部卒業後、野村證券入社。ニューヨーク法人などに勤務。モルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックス勤務を経て、2001年にベンチャー業界へ転身。ベンチャー・キャピタル、複数スタートアップ企業の立ち上げ、エグジットに関わる。2005年より東京工科大学教授。2015年より神戸大学科学技術イノベーション研究科教授、同大経営学研究科教授(兼任)。
政府で核融合エネルギー委員会委員などを務める。博士(学術)。著書多数。


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