怪獣生物学、物理学、優生学――ちょっと変わった「理系独学本」!
「算数、生物、物理、化学……勉強して将来何の役に立つの?」
文系の私は、学生時代、こんな思いが頭をよぎったことがあります。
大人になったいま、テストがあるわけでもなく、直接触れる機会はたしかに多くありません。
ところが本屋さんで理系ジャンルの面白そうなタイトルを見かけると、つい手に取ってしまったり……
そんなふうに気まぐれから始まる独学もまた、よいのではないでしょうか。
というわけで、今回の新書は独学の友、理系編です。
『怪獣生物学入門』
実在しない怪獣の形態を考える――「それこそ何の役に立つのか」と侮るなかれ。
実在しない生物を見つめるからこそ、実在する生物の不思議や神秘を感じることができるのではないでしょうか。
そして、「シン・ゴジラの歯はなぜギザギザに入り組んでいるのか」「キングギドラの骨格はどうなっているのか」、そんなことを考えるだけでワクワクします。
『物理学者のすごい思考法』
物理学者は日常をどんな目で見ているんでしょうか。
ギョーザを作るとき、エスカレーターに乗るとき、レゴを組み立てるとき。いつでも物理学で物事をとらえ、数式や仮説を書き出してしまうそうです。
物理の知識がなくても楽しく読めるエッセイですが、なんといっても橋本さんを見つめる妻さんの生暖かい視線と鋭いツッコミにについ笑ってしまいます。
「現代優生学」の脅威
障害者や移民、ユダヤ人といったマイノリティへの差別や排除、抹殺――
人類の歴史をふり返ると、優性思想による悲劇がくり返されてきました。
とくに「チフスのメアリー」という100年以上前のアメリカでのエピソードが印象的でした。
現代のコロナ禍におけるSNSでのバッシングやヘイトスピーチと、本質的に同じことが行われていたというのです。
今回は一風変わったところのある独学の友たちでした。
ちょっと不思議なところがあるけど、おもしろい。そんな友達がいると楽しいです。