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#000 はじめに/世界ニホンジン探訪~あなたはどうして海外へ?~

世界で暮らすニホンジンたち

「ロマンスを求めてノルウェーに来ちゃったんです!」
数年前、仕事でノルウェーの首都・オスロを訪れた私は、晴天の夏空の下、カフェのテラスで現地に住む日本人何人かに移住の経緯を尋ねていた。そのなかで一人の女性が教えてくれたのが、冒頭の移住理由である。
「あー、とんでもない人がいるもんだ」と驚いた。彼女のような移住者の話を聞いていると、海外は私たちが思ってる以上に近いのかもしれないと、ハッとした。
この連載では、彼女のように世界に移り住んだ日本人のすこし変わった人生と、現地で営む生活を集めて紡いでいく。いわば「世界ニホンジン探訪」の記録だ。ちなみにロマンスを求めてノルウェーに移住したまさよさんについては、初回でご紹介するので、どうかお楽しみに。

オスロにて(左が筆者、右がまさよさん)

軽やかに生きる知恵

私は普段「世界中どこにいっても現地の日本人が助けてくれる」世界の実現を目指して生まれた、「ロコタビ」というサービスを運営するちいさな会社で働いている。一言で言うと、海外在住の日本人を国内在住の日本人に紹介し、現地ガイドや通訳などの仕事を依頼できるようにするサービスだ。
私が入社した2017年当時、登録する海外在住者は数千人だったが、いまでは177カ国6万人にも及ぶネットワークができあがった。そんなゆるやかなつながりが出来上がっていく過程で、私は幸運にもさまざまな移住者の方々と出会ってきた。
カリブ海の島国で気づいたら刺繍作家になってしまった女性、途上国でソフトテニスを普及しているコーチ、芸術の街で小さな劇場を営んでいる歌手、軍事政権と関わりながら奮闘するビジネスマン、アマゾン地域でお土産屋さんをしているママ、etc…
そして毎回思う、「どうしてその国に移り住んでるのだろう?」と。
もちろん問題もたくさんあるけれど、日本ほど便利で豊かな国はそうそうないと思う。美味しいご飯がなんでも安く食べられて、夜でも女性が一人で出歩ける。そんな日本からヒョイっと移動して、言語も文化も異なる社会に飛び込んでは、時に右往左往しながら暮らしていく彼らの物語。そこにはどんな「きっかけ」や「選択」があったんだろうか。そこには私たちが本来持っているはずの「軽やかに生きる知恵」のようなものが隠れているような気がした。
ならばちょっくら聞いて回ろう。これがこの企画がはじまったきっかけである。

サンフランシスコにて

ニホンジンを巡り、世界を覗き見る

本連載では、彼らが体験したカルチャーショックの一部も掲載していく。
ぼくは彼らがポロッとこぼす海外生活の実情にいつも聞き耳を立ててしまう。油断していると取りこぼしてしまうほど自然に放たれていく言葉の数々は、世界への覗き穴なのだ。

「ブルガリアでヨーグルトはね、スープなんだよ」
「ノルウェーは、お母さんが二人なんてのは当たり前なんです」
「スペインにはタダでホテルに泊まり続ける奴らがいてさ」
「トルコ人のおしゃべりっぷりは大阪人にそっくりなんです」

これまで抱いていたその国へのイメージがメリメリ剥がれ落ち、代わりにリアルで肌触りのあるものに更新されていく。
インターネットではなかなか出くわさない、圏外への旅とでも言うんだろうか。彼らが見ている世界をちょっぴり覗かせてもらいながら、遠く離れた異国の文化、その違いを一緒に楽しんでいけたらと思う。
世界に移り住んだ多くの日本人に敬意を込めて。

↓「世界ニホンジン探訪」の連載記事はこちらから!

書き手

おかけいじゅん
ライター、インタビュアー。
1993年東京生まれ。立命館アジア太平洋大学卒業。高校時代、初の海外渡航をきっかけに東南アジアに関心を持つ。高校卒業後、ミャンマーに住む日本人20人をひとりで探訪。大学在学中、海外在住邦人のネットワークを提供する株式会社ロコタビに入社。同社ではPR・広報を担当。世界中を旅しながら、500人以上の海外在住者と交流する。趣味は、旅先でダラダラ過ごすこと、雑多なテーマで人を探し訪ねること。


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