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#032 「好き!」の気持ち止まらず、保健室の先生を辞めて海外移住【ポルトガル】/世界ニホンジン探訪~あなたはどうして海外へ?~

お名前:Ryokoさん
ご職業:フォトグラファー
在住地:リスボン(2018年~)
出身地:東京
HP:
https://www.fotodaryoko.com

きっかけは「世界ふれあい街歩き」

――元々は東京で働かれていたんですよね?

 はい、養護教諭をしていました。いわゆる「保健室の先生」として、特別支援学校や小学校で6年間勤めていました。

――ポルトガルとの出合いは?

 旅行で訪れたのが最初です。社会人2年目の秋、仕事で疲れが溜まっていて「何か楽しみがないと頑張れない」「どこか海外旅行にでも行きたい」と思っていたんです。そんな時に思い出したのが、大学時代にNHKの「世界ふれあい街歩き」で見たポルトガルの風景でした。それで、行ってみることにしたんです。初めての一人海外旅行、初めてのヨーロッパ。勢いでしたね。

――初の一人海外旅行でポルトガルは珍しいですね。いかがでしたか?

 リスボンの洗練されすぎない街や建物、漂う空気感のようなものがすごく気に入りました。当時は観光客も少なく、街もすこし寂れた感じで、そのどんよりした感じも含めて好きになりました。結局帰国後も、ポルトガルを再訪したい気持ちが膨らんで、半年後にまた訪れていました。ただ、当時は定年まで日本で働くつもりだったので、強く「ポルトガルに住みたい」と思っていたわけではありませんでした。

リスボンの街並み。

「好き!住みたい!」の気持ち止まらず

――移住のきっかけはなんですか?

 偶然知ったワーホリ制度です。社会人5年目で、私生活や自分の今後について考えているときに、「もし仕事をやめるなら、1年くらいポルトガルで過ごしてみたいかも」という気持ちが芽生えました。そこで、ワーホリ制度があることを知ったんです。ただ、単なる旅行と実際に住むのとは大きな違いがあります。なので、本当に自分が「住みたい」と思えるか、もう一度ポルトガルに行って、現地での生活をイメージしてみることにしたんです。

――たしかに確認は大事ですよね。三度目の滞在はどうでしたか?

「好き!住みたい!」と思いました(笑)。もちろん、周りからは反対もありましたが、最終的には自分の想いを優先して、ワーホリに行くことにしたんです。

――ワーホリ期間はどのように過ごしていたんですか?

 趣味で写真を撮ったり、カフェを回ったり。あとは散歩をよくしていました。特に路地を歩くのが好きでしたね。リスボンにあるアルファマという下町の地区は、坂も多く迷路みたいに入り組んでいるので、一回では全然回りきれないんです。「今日はこの道を歩こう!」「あ、この道はここと繋がっているのか~」という感じで、何度も訪れていました。

――いいですね〜。そのまま移住されたんですか?

 はい、やっぱり1年間では足りないと思ったんです。ただ、住みつづけるにはビザが必要です。ポルトガルは一定の収入があれば居住許可の申請ができるんですが、私は英語もポルトガル語もあまり得意ではないので、会社に雇ってもらうのは厳しい。そこで、自分でできる仕事をつくるしかないと思って、フォトグラファーとして活動をはじめることにしたんです。

リスボンの下町・アルファマの街並み。

ポルトガルでは希少な日本人フォトグラファー

――フォトグラファーとしてのお仕事について教えてください。

 主に日本人観光客を街中で撮影しています。ウェディングフォトの撮影なども多いですね。たまにリスボンの街歩きガイドなんかもしています。

――なぜ写真を選んだんですか?

 ポルトガルで自分ができる仕事を探している時に、観光客向けに撮影をしている人がいることをインスタグラムで知ったんです。「これを日本人向けにやってみよう」と、勢いで始めました。元々趣味で写真は撮っていたものの、立派なカメラを持っていたわけではなかったので、ポルトガルで中古カメラを買うところから始めました。

Ryokoさん。

――仕事はどのように獲得していったのですか?

 初めは現地の友だちを撮影してインスタに載せることから始めました。4カ月ほど続けているうちに、ポツポツと仕事が入るようになり、気づいたら「Safari」などの日本の雑誌からも依頼をいただけるようになったんです。今もそうですが、そもそもポルトガルに住む日本人フォトグラファーが少ないというのも、仕事をいただけた大きな理由だった気がしますね。

Ryokoさんの作品例。

開放的なビキニのおばあちゃん

――移住して感じる文化の違いはありますか?

 服装の違いには驚きましたね。みんなとにかく自由なんです。老若男女、体型、年齢関係なく、みんな自分が着たい服を着ています。私はこれがすごく心地よいと感じました。日本だと「いい歳してみっともない」と言われることがありますが、それがありません。例えば、海に行くと若い人だけでなく、おばあちゃんや妊婦さんもビキニを着ています。他人にどう見られるかは関係ないんです。

――ご自身の服装にも変化はありましたか?

 服装に大きな変化はないですが、気持ちが楽になりましたね。日本にいる時は、自分の見た目や服装が周りにどう見られるか気にしていましたが、ポルトガルで暮らすうちに自分も「気にしなくていいや」という感覚になりました。

都会に疲れた人のオアシス

――ポルトガルはどのような人におすすめの国ですか?

 都会で疲れた人、ちょっとのんびりしたい人におすすめですね。最近はリスボンも観光客が増えてきたので、長期のお休みが取れるなら、リスボンから電車で30分くらいの郊外に滞在して、海沿いでサーフィンしたり、ゆっくり美味しいご飯を食べて過ごすのがおすすめです。季節は夏がいいかと!

――今後について教えてください。

 写真の仕事を増やしていきたいですね。写真をとおして、ポルトガルの魅力を外に発信していきたいです!

リスボンの街並み②。

取材:2023年9月
写真提供:Ryokoさん
※文中の事柄はすべてインタビュイーの発言に基づいたものです

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聞き手

おかけいじゅん
ライター、インタビュアー。
1993年東京生まれ。立命館アジア太平洋大学卒業。高校時代、初の海外渡航をきっかけに東南アジアに関心を持つ。高校卒業後、ミャンマーに住む日本人20人をひとりで探訪。大学在学中、海外在住邦人のネットワークを提供する株式会社ロコタビに入社。同社ではPR・広報を担当。世界中を旅しながら、500人以上の海外在住者と交流する。趣味は、旅先でダラダラ過ごすこと、雑多なテーマで人を探し訪ねること。

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