コロナブルーを乗り越える本 川内有緒
ノンフィクション作家、川内有緒さんが紹介するのは音楽の力に想いを馳せ、夢を描ける本、そして人生というものと、日常との接し方に改めて気付かされる本の2冊です。
※この記事は、集英社インターナショナル公式サイトで2020年4月17日に公開された記事の再掲載です。
『パリ左岸のピアノ工房』
T.E.カーハート、村松潔訳/新潮クレスト・ブックス
かつて私がパリに住んでいた頃のことだ。通りの向かい側のアパルトマンに住んでいた男性が、唐突に部屋の窓をひらき、ベランダからオペラの歌曲