集英社インターナショナル

集英社インターナショナルの公式noteです。硬軟とりまぜたオリジナル連載、新刊案内など更新予定です! https://www.shueisha-int.co.jp/

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マガジン

  • 『ことばの番人』校正者の精緻な仕事に迫るノンフィクション!

    1本

    ノンフィクション作家・髙橋秀実さんの著書『ことばの番人』のなかからエピソードを抜粋してお届けします。 ◇書籍『ことばの番人』について 日本最古の歴史書『古事記』で命じられた「校正」という職業。校正者は、日々、新しいことばと出合い、規範となる日本語を守っている「ことばの番人」だ。ノンフィクション作家の著者が、校正者の仕事や経験、思考、エピソードなどを紹介。あまたの文献、辞書をひもとき、日本語の校正とは何かを探る。

  • 世界ニホンジン探訪~あなたはどうして海外へ?~

    40本

    世界各国で暮らす日本出身の人々。彼ら/彼女らはどのようにその国と出合い、移住し、そしてどのように働いているのか? そこには、意外と身近な事情や、驚きのドラマがありました。海外在住の日本人500人以上と接してきたライター・おかけいじゅんと一緒に、めくるめくニホンジン探訪の旅に出かけましょう。

  • 【鹿島アントラーズ監督】コソボから来たセルビア人ポポヴィッチ

    4本

    2024年シーズンから新たに鹿島アントラーズの監督に就任した、コソボ出身のセルビア人、ランコ・ポポヴィッチ。 ポポヴィッチの出身地コソボとは、どのような国なのか。ポポヴィッチの半生とともに、コソボという国家の歴史に迫る、ノンフィクション作家・木村元彦さんによる短期連載。

  • 死の授業、開幕! 各界の知識人が「死」を考える

    1本

    孤独死、絶望死、病死、事故死、自死、他殺……死を恐れる感情はどこから来るのか。 死から考える「人生の価値」、不死が人を幸せにしない理由、日本と諸外国との死生観の違い……医学・哲学・倫理・葬儀・墓・遺品整理・芸術・生物学・霊柩車・死刑制度などの専門家に、死への「正しい接し方」を聞く。

  • 異邦人のロンドン──移住者たちのトゥルー・ストーリー

    3本

    翻訳家・園部哲さん初の著書『異邦人のロンドン』刊行記念の短期連載。 30年以上滞在しているロンドンの街を「移民」の視点から描くこの本には、王室報道ではお目にかかることのできない、コスモポリタン都市の素顔があります。 あなたの知らないロンドンの姿がここに。

ウィジェット

『ことばの番人』校正者の精緻な仕事に迫るノンフィクション!

ノンフィクション作家・髙橋秀実さんの著書『ことばの番人』のなかからエピソードを抜粋してお届けします。 ◇書籍『ことばの番人』について 日本最古の歴史書『古事記』で命じられた「校正」という職業。校正者は、日々、新しいことばと出合い、規範となる日本語を守っている「ことばの番人」だ。ノンフィクション作家の著者が、校正者の仕事や経験、思考、エピソードなどを紹介。あまたの文献、辞書をひもとき、日本語の校正とは何かを探る。

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正誤ではなく違和──『ことばの番人』髙橋秀実

──具体的に校正はどうやって進めるんですか?  私はあらためて校正作業の手順をたずねた。 「原稿照合の後、まずは素読みです」  即答する(校正者の)山﨑(良子)さん。「素読み」とは、もともと「書物の意味・内容を考えないで、ただ機械的に文字を音読すること」(『日本国語大辞典〔縮刷版〕第六巻』小学館 昭和五五年)を意味していたらしいが、校正用語としては元の原稿などとくらべることなく、ゲラだけを読む。素のものとして素直に読むのだ。 「読みながら内容をチェックする人もいるそうで

世界ニホンジン探訪~あなたはどうして海外へ?~

世界各国で暮らす日本出身の人々。彼ら/彼女らはどのようにその国と出合い、移住し、そしてどのように働いているのか? そこには、意外と身近な事情や、驚きのドラマがありました。海外在住の日本人500人以上と接してきたライター・おかけいじゅんと一緒に、めくるめくニホンジン探訪の旅に出かけましょう。

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#040 世界最先端のIT国家で見つけた「使命」【エストニア】/世界ニホンジン探訪~あなたはどうして海外へ?~

お名前:神長広樹さん ご職業:ITエンジニア 在住地:タリン(2017年~) 出身地:茨城 「アジア人は自分だけ」の学び場――エストニアの大学院卒業後、現地でそのまま政府関係のお仕事をされているとのことですが、そもそもなぜエストニアの大学院に進学したのでしょうか?  2016年の大学生時代に、エストニアのサマースクールに参加したのがきっかけです。当時は1年間リトアニアに交換留学に行く予定だったのですが、せっかく留学するのなら人より長く学びの期間を設けたいと思い、留学の前後

#038 「勝ち組/負け組」の生まれづらい社会【フィンランド】/世界ニホンジン探訪~あなたはどうして海外へ?~

お名前:Hideさん ご職業:建築家(現在は引退) 在住地:エスポ―(1975年~) 出身地:神奈川 「無銭旅行」でたどりついたフィンランド ――Hideさんは在住歴50年と長期間ですが、フィンランドとの最初の出合いはなんだったのでしょうか?  20代の頃に旅行で訪れました。  私が建築家として駆け出しだった1970年代、日本では小田実さんの著書『何でも見てやろう』や、五木寛之さんの『青年は荒野をめざす』などの影響で、若者が少ないお金を握りしめ、それが尽きるまで海外を旅

#037 先祖・小泉八雲のルーツをめぐり、たどりついた国【アイルランド】/世界ニホンジン探訪~あなたはどうして海外へ?~

お名前:守谷天由子さん ご職業:ジュエリーデザイナー 在住地:トラモア(2020年~) 出身地:東京 HP:Ayuko 小泉八雲の末裔 lit.link(リットリンク) 小泉八雲のルーツをめぐる旅――ヨーロッパをルーツとしながらも日本の怪談を世界に広めた文豪、小泉八雲ことラフカディオ・ハーン(Lafcadio Hearn)氏のご子孫だとお聞きしました。  はい、私は小泉八雲の次男、稲垣巌のひ孫です。つまり玄孫(やしゃご)ですね。ただ、家系図がずいぶん複雑なため、明確に自分

#036 「動物王国」でサファリツアー経営30年【ケニア】/世界ニホンジン探訪~あなたはどうして海外へ?~

お名前:船岡美保さん ご職業:サファリツアー会社経営 在住地:ナイロビ(1990年~) 出身地:香川 8年間ケニアに通ったライター時代――ケニア在住30年以上の船岡さんですが、元々はなにをしていたんですか?  東京でフリーライターをしていました。1970年代後半、ちょうど高度経済成長の時代ですね。大学を卒業して、編集プロダクションに入りました。ライターとして情報誌や社内報などに関わって、最終的にフリーライターとして旅行雑誌などに記事を書くようになりました。 ――ケニアと

【鹿島アントラーズ監督】コソボから来たセルビア人ポポヴィッチ

2024年シーズンから新たに鹿島アントラーズの監督に就任した、コソボ出身のセルビア人、ランコ・ポポヴィッチ。 ポポヴィッチの出身地コソボとは、どのような国なのか。ポポヴィッチの半生とともに、コソボという国家の歴史に迫る、ノンフィクション作家・木村元彦さんによる短期連載。

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第4回【鹿島アントラーズ新監督】コソボから来たセルビア人 、ランコ・ポポヴィッチ

第1回はこちら 前回はこちら ●ポポヴィッチの出身地・ペーチへ  翌日、ポポヴィッチのくれたアドレスを握りしめてペーチを目指す。プリシュティナから西へ車でおよそ2時間半の距離だ。セルビア正教の総主教座が置かれたこの地は、セルビア人にとってはいわばアイデンティティの源とも言える。  モンテネグロが住民投票によって独立を決めると、セルビアの民衆たちがあっさりとそれを承認したのに対し、コソボに対してはどんなに痛い目に遭わされても独立を認めないのは、このペーチがあるからと言って

第3回【鹿島アントラーズ新監督】コソボから来たセルビア人 、ランコ・ポポヴィッチ

第1回はこちら 第2回はこちら ●ストイコビッチゆかりの都市ニシュ  セルビアの首都ベオグラードから陸路コソボに向かうには、南部の都市であるニシュ経由とセルビア人エンクレイブ(民族集住地域)であるミトロビッツァ経由の二つのルートがある。  今回は高速道路を使用するニシュ経由を選択した。この高速バスは知人の日本人女性フォトグラファーも使ったことがあるそうだが、そのときに変わった体験をしたという。「車内のスピーカーから、浜崎あゆみの歌がいきなり流れてきたんですよ。何でここで

第2回【鹿島アントラーズ新監督】コソボから来たセルビア人 、ランコ・ポポヴィッチ 

第1回はこちら ●2007年6月15日ベオグラード  フクダ電子アリーナでのポポヴィッチとの出会いからほぼ1カ月後、セルビアの首都ベオグラードに飛んだ。  私はコソボから来たこのセルビア人との約束を果たさなくてはならない。この日、6月15日12時からアメリカ大使館前でコソボの拉致被害者家族による抗議集会が行われるということを聞きつけ、私は星条旗の翻る公邸前に、午前中からスタンバイしていた。  なぜ、コソボで拉致された被害者の抗議行動を米国大使館前で行うのか?  5日

第1回【鹿島アントラーズ新監督】コソボから来たセルビア人 、ランコ・ポポヴィッチ

●コソボ出身のセルビア人サッカー指導者がJリーグに  ランコ・ポポヴィッチの存在を初めて知ったのは、2006年の年末に祖母井秀隆(元ジェフ千葉GM)から、話を聞いたのがきっかけだった。祖母井は、知る人ぞ知るオシムを日本に招聘した人物で、大阪体育大で指導をしていた頃から、堪能なドイツ語を駆使して東欧のサッカー人脈を構築していた。ゆえに、情報の精度は極めて高い。日本代表監督に就任して5カ月のオシムを交え、浦安の中華料理屋「泰興」で行った忘年会の席上で、その祖母井がビールを飲みな

死の授業、開幕! 各界の知識人が「死」を考える

孤独死、絶望死、病死、事故死、自死、他殺……死を恐れる感情はどこから来るのか。 死から考える「人生の価値」、不死が人を幸せにしない理由、日本と諸外国との死生観の違い……医学・哲学・倫理・葬儀・墓・遺品整理・芸術・生物学・霊柩車・死刑制度などの専門家に、死への「正しい接し方」を聞く。

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サブスク解除、暗号資産相続…デジタル遺品を考える

●歴史が浅く、法整備の途上にある「デジタル遺産」の現状  私は死と生にまつわること、特に「デジタル遺品」と「故人のサイト」について調べたり、執筆・講演活動などを行ったりしています。大学卒業後は建設工事現場で施工管理の仕事をしていたのですが、やりたいことは出版関係と死に関わることであると気付き、葬儀社に転職。死の現場を勉強させていただいた後に編集プロダクションに入り、当初はパソコンやインターネット関連の記事を書いていました。5年くらい経験を積んだ後、フリーランスに転向し、201

異邦人のロンドン──移住者たちのトゥルー・ストーリー

翻訳家・園部哲さん初の著書『異邦人のロンドン』刊行記念の短期連載。 30年以上滞在しているロンドンの街を「移民」の視点から描くこの本には、王室報道ではお目にかかることのできない、コスモポリタン都市の素顔があります。 あなたの知らないロンドンの姿がここに。

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シティを覗く──『異邦人のロンドン』番外編③

 ロンドン通の旅行者、あるいはロンドン在住の人でもサラリーマン以外は乗ったことがないであろう地下鉄がある。その名をウォータールー・アンド・シティー・ラインといい、テームズ川南岸のウォータールー駅とシティ(駅名はバンク)をつないでいる。ロンドン最短、おそらく世界の大都市でも最短の地下鉄で全長2.4キロしかない、1898年開業のミニ地下鉄である。車輌もたった四輛しかない。駅も両端のウォータールーとバンクだけで、列車はテムズ川の底をくぐり、この二駅間を振り子のように往復する。日曜と

大学入学の周辺 ──『異邦人のロンドン』番外編②

 イギリスの大学が日本とどう違うか、いろいろと驚くことがある。学問とか組織の内容といった深い話ではなく、入学までの道のりだけでも日本や欧州大陸とはだいぶ違う。    最初にびっくりしたのがイギリスの「学生ローン」だった。  日本の「奨学金」との違いは豆腐・納豆論に似たところがある。トウフは豆の煮汁を型枠に納めたものだから「納豆」と、ナットウは豆を腐らせたものだから「豆腐」と書くべきだろうという例の俗論。つまり、名が体を表していない、逆ではないかという説。  奨学金と学生ロー

テムズ川の泥をあさる──『異邦人のロンドン』番外編①

 日本の川を見慣れた目でテムズ川を見ると、どっちへ流れているんだかわからないほどその流れは遅く、流れというよりは、たゆたいという表現が似合う気がする。プール・オブ・ロンドン(The Pool of London)というのはテムズ川のロンドン・ブリッジ近辺から下流を指す何百年も前からの表現だから、やっぱり昔からここは水溜まりみたいに見られていたのだろう。  五月雨を集めて早し最上川、のような勢いがないのは、テムズの水源が山ではなくあまり海抜のないところでじくじくとしみだす湧水