集英社インターナショナル

集英社インターナショナルの公式noteです。硬軟とりまぜたオリジナル連載、新刊案内など更新予定です! https://www.shueisha-int.co.jp/

#読書の秋2021 集英社インターナショナル

#読書の秋2021 集英社インターナショナルの課題図書にお寄せいただいた感想文のまとめです。

人生の最期を迎えるための教科書

『エンド・オブ・ライフ』を読んだ。 この本を知ったのは、小川糸さんのエッセイ集『グリーンピースの秘密』だった。 本書で小川糸さんは『エンド・オブ・ライフ』について触れられている。 糸さんは、これをもっと前に読む機会があったとするならば、『ライオンのおやつ』という小説をきっと書いていなかったと記している。 (『ライオンのおやつ』とは、末期癌の若い女性がホスピスで夢のように温かな人生の最期を迎えるお話で、死を怖がって亡くなられた糸さんの母を想って書かれたものだそうだ。) その

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死は別れでも終わりでもない。

エンドオブライフ 本屋大賞 2020年ノンフィクション本大賞受賞作。 終末期、在宅医療のありかたを考える一冊だ。 「命の閉じ方」をレッスンする。  200名の患者を看取ってきた友人の看護師が病を得た。「看取りのプロフェッショナル」である友人の、自身の最期への向き合い方は意外なものだった。  残された日々を共に過ごすことで見えてきた「理想の死の迎え方」とは。  在宅医療の取材に取り組むきっかけとなった著者の難病の母と、彼女を自宅で献身的に介護する父の話を交え、7年間にわた

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僕はボブ・ディランを少しは理解できるようになるだろうか?

Bob Dylanに”Death is not the End”という歌がある。 初めて耳にしたのは、今から30年くらい前。NHKBSの世界の自然をナレーションなど一切なしに見せる番組のBGMで流れていた。 一聴して好きになって、再放送の時に曲のタイトルを見つけ、CDを買った。 ”Down in the Groove”。 ディランのファンから今でもほとんど顧みられることのない88年のアルバム。 「エンド・オブ・ライフ」の224ページで、早川医師が「亡くなる人って遺される人に

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『目の見えない白鳥さんとアートを見に行く』を読んで、嗅覚障害と向き合う

 そもそもこの本に惹かれたのはアートへの関心以上に、見えないという白鳥さんの気持ちや立ち振舞いについて知りたかったからだ。というのも、わたしはにおいがわからない。におえないことをあけっぴろげにして周囲とかかわることに、まだモヤモヤもある。だから、見えない白鳥さんが見える人たちとどうかかわるのか、それを知りたくてこの本に飛びついた。  20代前半に風邪をひいたかなんだかがきっかけで嗅覚障害になった。そういう嗅覚障害はすぐに治療をすれば治るらしいのだけれど、のんびりしていたわたし

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【連載】みんなが気になる「顔」の話 By 山口真美

「顔」や「表情」の謎を研究する心理学者・山口真美さんの連載エッセイ。人間は、他人の顔や表情、さらには自分の顔をつねに気にしていますが、その理由を、山口さん自身が行なっている研究や、山口さん自身の実体験などから解き明かしていきます。

新連載『みんなが気になる「顔」の話』始まります!

こんにちは、集英社インターナショナル・編集者のMSと申します。 いきなりですが、コンピュータの世界では「インターフェース」という言葉がよく使われるのはご存じですよね。 インターフェースとはコンピュータと人間が接触する「境界面」のこと。 たとえばディスプレイもそうですし、キーボードやマウスなども典型的なインターフェースですね。最近ではマイクやカメラも一般的なインターフェースになりつつあります(Zoom会議など)。 スマホなどでは画面そのものが出力と入力の両方の役割を果たし

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第1回 日本人の「マスク好き」と子育ての関係を考えてみる。

昔から「口元を隠す」文化があるせいで、日本人はマスクに抵抗がないが、欧米人にとっては口元こそ「表情」の基本。その傾向の違いは赤ちゃん時代から、実は始まっている──中央大学で「顔」を研究する山口真美さんは、その謎に挑んでいる心理学者。 山口さんによると、「マスクを着けての育児」は要注意なのだとか。それはなぜなのか。 新型コロナウイルス感染症(COVID‑19)が蔓延してから、マスクに振りまわされる生活が続いています。思い起こせば去年の春から、人々はマスクにピリピリしていました

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第2回 なぜ幽霊は人の姿をしているのか(前)

この世に存在しない、死んだ人の姿を亡霊として見えるという人がいます。そう主張する人達は、それらの姿を“その目で見て”いるのでしょうか。 「幽霊特番」に夢中になって気付いたこと私が子どもだった頃には、夏休みになると、テレビで幽霊特番が流れるのが常でした。 特に夢中になったのが、昼のワイドショーの時間に流される幽霊体験の再現番組でした。子どもたちも明るいうちは怖いもの見たさにはしゃいで見るのですが、夜になって暗くなると怖さがつのります。恐怖のシーンを再現する番組だけに、伸び続け

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第2回 なぜ幽霊は人の姿をしているのか(後)

(前編より続く) 人は、人の顔を見出すことに長けているのです。 人が生きていくうえで、いち早く人を見出すことは、生存上の重要な課題だからです。群衆の中に親しい人を見つけ出すこと。暗闇にまぎれてこっそりつけ回す怪しい人の存在に気づくこと。人は、人とかかわりを持って生きる存在なのですから、相手が誰であるかの顔を見出すことはなによりも大切なことなのです。 「他人の顔が見えなくなる」障害とは?こうした顔認識を支えるのが、人の顔や姿かたちを優先して処理しようとする、脳の仕組みです。

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連載 言語の天才まで1億光年 高野秀行

「誰も行かないところに行き、誰もやらないことをやり、誰も書かない本を書く」をモットーにしているノンフィクション作家、高野秀行さん。辺境の地では、テキストはもちろん辞書もないような言語が話されている。アフリカのリンガラ語、ボミタバ語、ミャンマーのワ語……。 それらの言語を高野さんは習い、現地で操り、人々の懐に入り込む。なぜそんなことができるのか。 その謎に答えるのが本連載。学んだ言語は20以上、言語オタクを自認する高野さんが、自らの言語体験をたどる。フランス語やスペイン語、中国語など、メジャーな言語の独特すぎる学習方法も登場します。 なお、高野さんの言語人生を振り返りますので、一部が既刊の本の内容と重なる場合がありますが、ご了承ください。

混沌のゴールデントライアングル言語群篇 (5)麻薬王のアジトでビルマ語を習う

日本語教師だったことが功を奏し、シャン人のアジト潜入に成功した高野さん、そこでシャン語を習おうという企てはだが、思わぬ方向に──。 シャン語を習いながらコネをつかむ。素晴らしい一石二鳥作戦のはずだったが、いきなりつまずいた。シャン語を教えられる人がいないのだ。 シャン語の読み書きができないシャン人  前述したように、この家(アジト)には社長のお兄さんの家族、親戚、そしてクンサー軍の兵士(少年兵)などが十数人、住んでいた。みな、シャン州に生まれ育ったミャンマー国籍のシャン人

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混沌のゴールデントライアングル言語群篇 (4)麻薬王のアジトでシャン語に出合う

チェンマイ大学で「先生、いじわる〜」と女子学生に言われる日本語教師は、世を忍ぶ仮の姿だった!?  高野さんの野望が明らかに!  チェンマイで第二の青春を謳歌していた私だが、このまま日本語教師に落ち着くつもりは毛頭なかった。実はチェンマイに来る前からひじょうに明確な目標があったのだ。それは「ゴールデントライアングルに住み込んでケシ栽培を行ってアヘンをつくる」という端から見れば突拍子もないものだった。 世界屈指の暗黒地帯の全貌を明らかにするという野望  ゴールデントライ

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混沌のゴールデントライアングル言語群篇 (3)「日本文学」でマンガ講読

チェンマイで第二の青春を謳歌しながらも、熱心にタイ語の勉強に取り組んだ高野さん。日本語教師としても「話し言葉」を教えることに力を入れた。そのどちらにも役立った画期的なテキストとは。  現地に住みながら言語を学ぶのは言語好きにとって申し分のないシチュエーションである。チェンマイにはかつてなかったほど、いろいろな学習法の選択肢が揃っていた。私は片っ端からそれらを試していった。学習法を試すこと自体にも興味があったのだ。今回はそのうち2つを紹介したい。 語学学校のマンツーマンレ

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混沌のゴールデントライアングル言語群篇 (2)チェンマイで迎えた第二の青春

言語オタクとしてこの上なく充実していた学生生活に別れを告げ、タイ語短期集中講座を経て、タイの北部のチェンマイで社会人生活をスタートさせた高野さん。 そこで待ち受けていたものとは──。  刺激の強いアフリカのコンゴや南米を歩き回っていた私にとって、タイのチェンマイは新天地そのものだった。こぢんまりとして、町も人も気候も穏やかでのんびりしていた。 天国のような新天地  私が赴任したチェンマイ大学は旧市街から2キロほど離れたところに広大な敷地を有していた。あまりに広いので

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【集中連載】江口寿史美人画集『彼女』トークイベント

画集『彼女』の発売を記念して、2021年3月30日にトークイベントを行いました。 『彼女』ができるまで、青森での「江口寿史イラストレーション展 彼女」での初の試み、作品に対する思い、Twitterとの付き合い方――江口寿史さんにとことん語っていただいた当日の様子を特別公開いたします。 出演者: 江口寿史 楠見清 ぱいぱいでか美 会場:  新宿ロフトプラスワン

「イラストレーター・江口寿史」の出発点

2021年3月30日、新宿LOFT/PLUS ONEにて江口寿史美人画集『彼女』(2021年3月10日発売)の刊行を記念して、江口寿史先生、美術評論家の楠見清先生、タレントのぱいぱいでか美さんによる配信トークイベントを開催しました。 いよいよ最終回を迎える今回は、イラストレーターとして初めての仕事はどんなものだったのかについて。 そして江口先生の、編集者的・デザイナー的視点についてお話いただきました。 仕事が仕事を呼ぶ 質問5 「初めて依頼のあったイラストのお仕事はどんな

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人物スケッチをする江口寿史が見ているもの

2021年3月30日、新宿LOFT/PLUS ONEにて江口寿史美人画集『彼女』(2021年3月10日発売)の刊行を記念して、江口寿史先生、美術評論家の楠見清先生、タレントのぱいぱいでか美さんによる配信トークイベントを開催しました。 江口先生がでか美さんをライブスケッチをしながら、人物を描く時の手順や、マンガの描き方の変化について語ってくださいました! (過去記事はこちらからどうぞ) 人物スケッチはどこから描くか 楠見清(以下「楠」):江口さん、いまみたいに目で見て描くの

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『ストップ!! ひばりくん!』ができたときのこと

2021年3月30日、新宿LOFT/PLUS ONEにて江口寿史美人画集『彼女』(2021年3月10日発売)の刊行を記念して、江口寿史先生、美術評論家の楠見清先生、タレントのぱいぱいでか美さんによる配信トークイベントを開催しました。 実は、このイベントの前日は江口先生のお誕生日。そこで語られた今年の抱負と、視聴されていた方からの質問にお答えする様子をお届けします。 (過去記事はこちらからどうぞ) 江口寿史が今年やりたいこと ぱいぱいでか美(以下「で」):(完成したライブス

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密着! 江口寿史のライブスケッチ

2021年3月30日、新宿LOFT/PLUS ONEにて江口寿史美人画集『彼女』(2021年3月10日発売)の刊行を記念して、江口寿史先生、美術評論家の楠見清先生、タレントのぱいぱいでか美さんによる配信トークイベントを開催しました。 前回話題となった「パクリ」についてのお話に加えて、この日の目玉、ライブスケッチの様子も今回からお伝えしていきます! なかなかお目にかかれない江口先生の手元にも注目です!! (過去記事はこちらからどうぞ) 自由になり過ぎたかもしれない発信の場

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集中公開【今読むべきコロナブルーを乗り越える本】

ワクチン接種、緊急事態宣言解除!?…、ニュースの見出しは踊っても、新型コロナウイルスの感染が社会とわれわれの心にもたらした影はいつ消えるともしれません。やはり、いつまで続くのかわからない、ひっそりとした生活の中で可能なポジティブな行動とは何だろう? そう考えた集英社インターナショナルは、ひとつの答として読書の意味に立ち戻りました。そして、各界の読書の達人に「今、読むべき本」を紹介していただきました。昨年、弊社ホームページで公開した「コロナブルーを乗り越える本」をより多くの方に読んでいただけるようにnoteに掲載していきます。ぜひフォロー、ご一読ください。

コロナブルーを乗り越える本 阿古智子

現代中国学者の阿古智子さんが紹介する本は、20世紀初頭、東アジアの人々とペストとの闘いを政治、医療などの面から分析しています。コロナとの闘いが終わるとき、世界はどのような姿をしているのでしょう? ※この記事は、集英社インターナショナル公式サイトで2020年5月5日に公開された記事の再掲載です。 『衛生と近代―ペスト流行にみる東アジアの統治・医療・社会』 永島剛・市川智生・飯島渉編/法政大学出版局 「鼠疫」、つまりペスト(腺ペスト)が北里柴三郎によって歴史上初めて医学的に

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コロナブルーを乗り越える本 小田井涼平

小田井涼平さん(「純烈」メンバー)は、テレビの世界で活躍したヒーローたち、そのさまざまな像を紹介した本をピックアップ。コロナの時代のヒーローはわれわれのすぐ隣にいるはずです。 ※この記事は、集英社インターナショナル公式サイトで2020年5月3日に公開された記事の再掲載です。 『ヒーローたちの戦いは報われたか』 鈴木美潮/集英社文庫 予期せぬ形で世界中がコロナ危機に陥ってしまった。まさに大ピンチだ! こんな時こそヒーローの出番である。とはいえ、空を飛んで、もしくはバイクに

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コロナブルーを乗り越える本 神島裕子

神島裕子さん(哲学者)は現在、われわれが抱えている不満に寄り添ってくれる2冊を紹介。一人ひとりに対する敬意、苦しんでいる人の言葉を聞き取るための努力の大切さに気づかされます。 ※この記事は、集英社インターナショナル公式サイトで2020年4月30日に公開された記事の再掲載です。 『市民の反抗 他五篇』 H.D.ソロー、飯田実訳/岩波文庫 コロナ禍は誰しもの日常生活を一変させ、私たちをブルーな気持ちにさせています。以下では、多くの人が現在抱えているだろう不満に寄り添ってくれ

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コロナブルーを乗り越える本 タカザワケンジ

写真評論家のタカザワケンジさんが紹介するのは歌っている人たちの写真集です。コロナ禍でカラオケ店にも休業が要請されました。ある出来事をきっかけに、それまで不通だったことの意味が変わってしまう。われわれは今、その瞬間にいます。 ※この記事は、集英社インターナショナル公式サイトで2020年4月28日に公開された記事の再掲載です。 『APPEARANCE』 兼子裕代/青幻舎 新型コロナウィルスの流行でカラオケ店が休業要請の対象になっている。まさか「歌う」ことが感染を広げるなんて